心の墓場

ここは言葉の掃き溜め、墓地のような場所。                      愚痴が中心ですので苦手な方はお笑いでも見ててください。

声優アワードの限界

第11回2016年度の声優アワード受賞者が発表された。

毎回、アニメ・声優ファンの間で論争を繰り返している賞であるが、今回はいつもと違う空気を醸し出した。

(とりあえず)最高の名誉とされる「主演男優・女優賞」に神木隆之介上白石萌音が選ばれた。2人の名前を見ればわかる通り、出演作品は両人とも「君の名は。」の1つだけである。またシナジー賞にも君の名は。が選ばれており、受賞の選出に公平性を欠いているのではという声が後を絶たない。

また特別賞にはのん(能年玲奈)が選ばれており、今年度は「声優」アワードにも関わらず、3人も実力若手俳優が受賞する異様な光景を見せている。

 

しかし、普段声優業をしない俳優が声優アワードを受賞するというのは筋違いでは? という考えもちらほら見られるが、僕自身は演技をする者は声優に限らず全て「役者」なのだから、例え俳優でも「声優」としての演技が評価されれば声優アワードでの受賞は当然だと思っている。

ただまぁ、今回に関しては露骨だったと言わざるを得ない。確かに神木くんや上白石さんは受賞するに値すると思っているが、シナジー賞辺りが妥当ではなかろうか。能年ちゃんの特別賞はそういうバランスを考えた受賞で、君の名は。をブランド化しようとする商業的ないやらしさを感じてしまうのである。

 

正直今回の件で声優アワードの権威は失墜したと思っている(元から無いとか言わないの!)。役者にとって賞などの名誉はキャリアであり、その根底にあるのは信用である。信用のない名誉ほど厄介なものは無く、授与されても無下に断ることもできない。現在の声優アワードには信用が無く、受賞しても自慢にもならないし、仕事にもつながり辛いということである。そういう意味では、主演賞を獲った2人はある意味被害者と言えるかもしれない。

 

通常こういった名誉賞は選考基準と選考委員をきちんと公表した上で、受賞理由を選考委員会や選考委員が明確に説明する。このような公平性を保つ仕組みを維持できなければ、声優アワードは自然消滅していくだろう。しかしこれらは声優アワードに限ったことではない。続けるための努力をするか、そのまま風化していくか――これは選考委員会だけに言える話ではない。声優界がこの件についてどう向き合うかという課題でもあると思う。