仁和寺にある法師
「仁和寺にある法師、歳寄るまで石清水を――」
古典を習った者ならば、どこかで聞いたことのある一文。
徒然草の五十二段『仁和寺にある法師』は教科書で紹介されるほど有名な一説で、序文(第一段)と共に覚えたという人は多いはず。
しかしながら、この仁和寺というお寺の凄さを知るものは少ない。
名前だけなら……という方もいるだろうが、実はめちゃめちゃ由緒あるお寺なのである。
仁和寺は真言宗御室派の総本山で、世界遺産にも指定されている寺院。何より他の仏閣と一線を画すのは、天皇の勅願によって創建された点であり、完成した当時の元号が「仁和」だったことから仁和寺と呼ばれるようになった。
御室とは出家し法皇となった宇多天皇の住いのこと。後に御室には出家した皇族やその子弟が暮らすようになり、彼らは門跡と呼ばれ仁和寺を管理してきた。皇族・貴族などが管理するお寺を特に門跡寺院と呼び、仁和寺はその代表格であり、その始まりであると伝えられている。
まぁざっくりいうと、日本トップクラスのお寺って事です。
今回はそんな仁和寺のことを知りたい!
という訳でトーハクに行って参りました。新年初上野です。
さすが門跡寺院というだけあって、朝廷と縁の深い品々が多いのが印象的でした。御室派寺院の展示でもあるので延喜式(金剛寺所蔵)や方丈記(大光福寺所蔵)、黄帝内経明堂(仁和寺所蔵/国宝)など歴史好きには堪らない品々が目白押し。
それでも仁和寺展の見どころはやはり、精緻を極めた仏像や仏具。
見てくださいよ、この圧倒的スケール。
ありがたいなぁ……
仁和寺にある観音堂を再現したスペースで、通常は一般非公開。つまり観音堂の中はこんな感じに「ありがたい」空間になっており、写真まで撮らせてくれる懐の深さ。同じ機会は二度と無いかもしれません。ほんとありがたい。
過去様々な展示に足を運びましたが、何というか御仏の「ありがたさ」を最も体感した展示だったと思います。そういう機会をくださった仁和寺には感謝しないといけませんね。
最後はオフショットでお別れ。
冬のトーハク内庭です。たまには本館に寄るのもいいですね。