「けもフレ」騒動に見る日本のアニメ事情
※注意! この記事には偏見と独自研究が多分に含まれています
アニメ「けものフレンズ」の2期目の放送が決定した中、一つのニュースが多くのファンに衝撃を与えた。
なんと、アニメシリーズの監督を務めたたつき氏が2期目の製作から外されたというのだ。同氏の発言は「ざっくりカドカワさん方面よりのお達し」というもので、ネット上では権利を持つKADOKAWA憎しの声や、たつき監督の復帰を望む署名などが行われた。
しかし、当のKADOKAWAはこの案件について殆ど公言せず、何故かアニメ制作のヤオヨロズや騒動に関して殆ど無関係の出演声優に説明させるなど、ファンの怒りをさらに買ってしまう。なお公式からの発表では「ヤオヨロズの方から制作辞退の申し出があった」としており、双方に意見の食い違いや矛盾が生じていることが分かる。
このような状況下、1期目と同じ体制でアニメ制作を行うのは困難であり、その結果たつき監督を降板させるという事態に至ったと推測する。
何にせよ、(現在の所)この騒動によって2期目が白紙になったわけではないので今後の展開を注視したいところである。
して本題はここから。
なぜこのような事態が起こったのか? ということ。
今回のような騒動は、何も「けもフレ」だけに限ったことではない。
恐らく過去多くのアニメ作品が同じような経験をして、それらが教訓としてアニメ制作の現場に生かされていない――つまり日本のアニメは旧態依然とした状態にあるのだ。
日本のアニメはざっくり説明するとこんな構図になっている。
《制作許可》 《制作依頼》
【作品(版権元)】⇒【制作委員会】⇒【各制作会社】
一見すると普通に見えるが、日本のアニメは原作ありの作品が多く、スポンサーも予算を出してくれない場合が多い(つまりDVDや商品で利益を上げなくてはいけない)。つまり、制作の版権を持っている出版社などの力が非常に強いというのが日本のアニメ事情なのである。
・では「けもフレ」はどうしてここまでの騒動に至ったのか?
上の話は純粋な(原作付き)アニメの話であるが、けものフレンズはKADOKAWAと吉崎観音(コンセプトデザイン担当)によるメディアミックスを前提とした「プロジェクト」なのであり、両者の知的財産であるということを留意しなければならない。しかし、抜け穴?としてファンによる二次・三次創作を認めており、このことがコンテンツをややこしくしている大きな原因だと考えられる(たつき監督降板もこれに触れた可能性が高いとされる)。
・大きすぎる力関係
先にも述べた通り、日本はアニメ大国にも関わらずその制作会社の立場が弱い現状にある。もっと言えば、原画を担当するアニメーターは世界トップクラスの技術を持っているのにそれに見合った待遇にあるとはお世辞にも言えない。
大きすぎる力関係、会社を維持するための過度な制作。
アニメを作るたびにアニメ業界が沈んでいくということにみんな気付いているはずだ。僕個人の意見としては劇薬でもいいから、制作の側から変わっていかないと現状の打破にはつながらないと思っている。
質をよくするために制作の本数を減らしたり、京アニのように作品をブランド化したり、制作会社が独自のコンテンツを保有する(サンライズにおけるガンダムみたいな感じ)などの改革を団結してやっていかないと、連鎖的に制作会社が消えていくような気がしてならない。作り手がいなくなるということは日本アニメの終焉を意味しているのだから、特にアニメーターは大切にする必要がある。
今回の「けもフレ」騒動をきっかけに、アニメ制作の現場が少しづつでもいいから変わっていくことを期待したい。